以前、転勤で職場にある資料や書籍を整理していたら、懐かしい IBM System 360/POO (Principles of Operation, 一般に "プー"と呼ぶ) が出てきた。
私が会社に入った頃は、メインフレーム全盛の頃で、ミニコンは既に普及していたが、未だVAX11/780 が出る何年も前であった。会社では、市販されなかったが、IBM System360互換機である、1フロアーを占める大型機 OKITAC 8000があり、新人の頃はミニコンと平行してこれを使っていた。
このマシンは、一度大型機から撤退した会社が、電子交換機開発のために必要な技術として開発したものだった。これをオープンショップで使っていたが、マニュアルはIBMのマニュアルであった。その頃、IBMのマニュアルは壁一面分あると言われていたが、System 360 POO は、そのトップにくる資料であった。
当時は、コンピュータに関する本は未だまともな物は少なく、特にOSに至っては、 IBM OS 360のジョブコン(JCL - Job Control Language)の切り方(書き方)を説明したものがほとんどだった。Per Brinch Hansen の Operating System等の体系的な OSの教科書が出るのは入社して数年経ってからであった。また、コンピュータのハードウェアやアーキテクチャに関する本も少なく、ハードウェアでは、ブール代数や論理回路等の説明はあるが、アーキテクチャと言えるような本は皆無であった。例外と言えるのが、Elliott Organick の "Computer System Organization The B5700/B6700 Series" であり、120ページ余りの薄い本であったが、スタックマシンとして有名なBurroughs B5700.6700 を説明したカラフルな挿絵が多数入った魅力的な本であった。
新人の頃、手当たり次第にコンピュータの本や論文を勉強していたが、IBM System/360 POO を読んで初めてコンピュータを理解できた気がした。
POOは System/360のものと思っていたら、当然ながら その後継機種の System/370や、最近の z-シリーズにも POOは存在する。
z-series は、64bit アーキテクチャであるが、40年以上前の System/360 の24bit アプリケーションバイナリが無修正で動作するそうだ。David Pattersonと John Hennessy の Computer Organization & Design では、360/370の命令セットは、最初に実現されて以来40年以上の歳月を経ているにもかかわらず、Intel IA-32よりもずっとスッキリしており、その理由は、基本がしっかりしていることと、一貫性のある拡張の仕方にあると、高く評価している。
IBM System/360 POO は、今も私の本棚にある。
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