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2011年6月24日金曜日

中高年にパソコンを教える

最近、姉にパソコンを教えている。
姉は、専業主婦で会社勤務の経験もなく、また、技術系には関心がないので、パソコンには全く触った事がない。
暫く前から老化予防にも良いからと進めているのだが、「最近はパソコンは、読み書き算盤である」と言ったのが効いたようだ。また、趣味でやっている短歌にも役に立つと思ったらしい。

同居している娘夫婦は勿論パソコンを使っているのだが、面倒なのか、人に教えるほど詳しくないのか、教えてくれないらしい。少し教えて理解しないと、それはやる気がないからだと、精神論で攻められるらしい。
昔の帝国陸軍風ではなく、科学的に教えなければならない。

という訳で、5月の連休から私が教えることになった。
教えるにあたって、娘夫婦のパソコンと同じにしておいた方が何かと便利であろうと「Windowsか? Mac か?」と聞くと、「リンゴがついている」と答えるので、MacBookProを買って持っていく。

ついでに、Mac の入門書も用意してみたのだが、ぺらぺらメクッてみると、とても初心者が理解できるものではない。書店でコンピュータの入門書をいくつも見てみたが、本当の初心者が読んでわかるとは思われないので、自分でパソコン入門という資料を作成し、ある程度自習できるようにする。

パソコンを教えるにあたっての方針は;
  • こまかい事をバラバラに一度に沢山教えない
  • 動作モデル、原理、背景を理解し、自分の中にパソコンがどうして動いているかのモデルができて、類推できるようにする。従って、インターネット接続もきちんと、PCから無線LAN,NCU,局舎、電話回線とインターネットの分離、インターネット、ISP, SPを説明する。また、最初から、プログラム、ウィンドウ、入出力の概念を説明する
  • 現在パソコンを使っている人も慣れるまでには何年もかかっている。また、当面自分が使う機能だけ知ればよく、全部わかっている人はいない、と安心させる
  • 当面の目標は
   (1) PCの起動、終了、基本的な操作ができるようにする
   (2) キーボード操作とかな漢字変換の習熟により文字入力ができるようにする
   (3) インターネット上の情報検索
   (4) 電子メール
   (5) 通販
   (6) 文書作成(Word)


これまでに3回教えたのだが、一応 Word で文書入力の練習までできているようだ。双方が実家に集まって教えるのだが、姉は MacBookPro を風呂敷に包んで持ってくる。風呂敷で包んだパソコンを見るのは初めてだ。

やっていると問題がいくつも発生する。
・トラックパッドよりは、マウスの方が操作しやすいだろうと、MagicMouseを用意したのだが、 MagicMouse が敏感すぎて、予測しない動きが発生する。自分も苦労したので、調べてみると MagicPrefs というソフトをインストールするとマウスの感度を制御できる。その後人から聞いたのだが、MagicMouse よりももっと使いやすいマウスがあるらしい。
・孫がパソコンの環境を壊す
最近は小学校でもパソコンを教えているようであるが、子供はさすがに学習が早くどんどん使うようだ。家のMacは両親がきちんと管理しているので、おばあちゃんのMacは子供の標的となり、ゲーム等好きなように使っているようだ。
しかし、環境を壊したりするので、その度に私に電話がくる。システム関係のトラブルを電話で対応するのは大変である。

いろいろトラブルもあるが想像以上に順調に進んでいる。世の中のパソコン入門も少し見直した方が良いと思う。

2011年6月22日水曜日

IBM の Watson について聞く

6月7日、東日本大震災でキャンセルされたIBM のWatson に関する講演を椿山荘で開かれた IBM Industrial Summit 2011 で聞く。一番最後のセッションで、当初予定されていた米国の研究者ではなく、東京基礎研究所の研究者が説明する。

Watson は、1997年にチェスの王者カスパロフを破った Deep Blue に続いてIBMが開発した超並列スーパーコンピュータで、自然言語による質問応答システムである。今年の2月14日〜16日の三日間、米国の有名なクイズ番組 Jeopardy! (ジョパディ)で過去のチャンピョン2人を負かして一躍有名になった。

Watson はIBMが1997年から最大25名の研究者をかけて開発したシステムであり、ハードウェアは市販機 IBM Power 750 をベースとする超並列機で、90台のサーバは、2880個のPower7 コアから構成される。
Watson の核心は質問応答システムである DeepQA にある。
DeepQA の知識ベースがどのように構成されているか、どのような推論を行うかに興味があった。知識ベースのほとんどは、映画のタイトルと監督等一部の表によるDBを除いて、大半がテキスト情報とのことであった。
情報はWikipedia のようなインターネット上の情報を採用しており、2億ページ 70 Giga Byte からなり、予想外に少ない。実際には構文解析等の処理を行った後の情報を付加して500 GB 程度とのこと。

推論の詳細は聞けなかったが、勿論、クイズ番組なので答えの語句が質問文にある訳もなく単純な全文検索では不可能だ。基本的には構文解析を行い、質問分における回答を指す代名詞との照応関係の解析を行った後、上記の知識ベースとパターンマッチを行うようである。複数の候補の中から確信度の計算を行って最高のものを回答とする。大体2〜3秒程度で回答し、正解率は87%程度で人間のチャンピョンと同程度とのこと。

説明の中で面白かったのは、テキスト情報としてWikipedia の記述を多く採用している事であった。70GBと少ないのはインターネット上には膨大な情報があるが、信頼できる情報はそれほど多くないこと、また、Wikipedia の記事は、対象の語句について総合的にかつある程度のサイズ内に記述されており、オープンな分野に対する情報としては適切なのであろう。
Watsonが不得意な領域としては、医療やファイナンスの領域があり、これは非常に詳細、大部な情報はあるが、Wikipedia のようなコンパクトで網羅的な記述は一般には(インターネット上には)少ない事が原因とのことであった。
また些細なことであるが、Jeopardy! は質問を読み終わった後、早押しで回答するのだが、音声認識を採用していない(会場の雑音が多い)Watsonではどのように入力するのかが問題なのだが、Jeopardy では、6分野×5レベル合計30問の問題パネルが選択された瞬間に、選択された問題のテキストデータが通信路で入力されるようになっているとのことであった。

IBMは2年程度で Watson を医療やファイナンス等の領域におけるDecision Support Systemとして商用化する計画であり、既に複数の大学医学部と共同開発を進めている。(医療やファイナンス等、WatsonがJeopardy! で不得意としている領域を選択したのは、金になる領域であり、またインターネット上に既にある情報ではビジネスにはならないと判断したためか?)

椿山荘に入るのは初めてであったが、山県有朋の別荘であっただけにさすが立派であり、建物の4階に届くような大樹が多数あり、高低差の大きい地形の中に池や川が作られ、ホタルもいるようだ。
建物の中も先週行った目黒雅叙園よりも、フォーシーズンズホテルが同居しているだけあってかなり品が良い。
庭園を歩いて冠木門を出ると神田川の桜並木であり、江戸川橋の駅まで歩いて帰る。
春の桜の頃はとても奇麗だろう。