2011年7月1日金曜日

不思議な事: 「何故、中国のレストランはあんなに大きいのか?」

2000年頃から市場開拓のため、中国に行く事が多かった。
中国に行かれた方は気づかれたと思うが、一般に中国のレストランは非常に大きな物が多い。4~5階建で、多くの個室があると共に、数百人から二千人程度が一度に入れる大食堂まである。しかも、これは北京や上海に限らず、地方都市に行っても同じように大きなレストランがある。

このような大きなレストランは日本には無いし、欧米にも無いと思う。 日本では昔デパートの食堂が大きかったが、現在は小さな専門店の集合体になってしまった。現在大きいのは大企業の社員食堂だけであろう。それも中国の大レストランよりはかなり小さい。

この理由を人に聞くと、多くの人が中国は人口が多いからだと答える。中国人も同様に答える。一度、杭州で UTstarcom の社長と会食した際に、社長に聞くと、それは中国は人口が多いからだと言う。
しかし、問題は人口ではなく、人口密度であろう。東京よりも人口の小さな中国の都市にいってもやはり大きなレストランがある。

これについて理由を明らかにした記述を私は知らないのだが、私は、毛沢東の人民公社および人民食堂がその背景だと思う。

現代中国の歴史の中で、毛沢東は、1958年の第2次5カ年計画で、15年で経済的にイギリスを追い越すという目標を設定して、いわゆる「大躍進」と呼ばれる種々の政策を実行した。この中で、人民公社がつくられ、農村部における生産組織と行政組織が合体した地区組織の基礎単位であった。また、都市部でも工場等の職場が単位よよばれ、生産、教育、生活等が単位毎に共同して営まれた。但し、都市部の単位は抗日戦争に置ける組織を引き継いでいる。

人民公社では、上記の大躍進政策に多くの労働者が駆り出されたので、女性が農作業を行う必要があり、家事労働力が不足したため、人民公社に託児所や学校、食堂を設置するところが増えた。これは都市部の単位に置いても同様である。

この結果、中国では大規模な食堂が増え、それが伝統となって現在に至っていると考えられる。
人民公社ができてから既に50年以上がたっており、現在の中国人も大きな食堂が当たりまえのものになって、不思議とは感じていないのであろう。

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